富士山は、標高3,776mを誇る日本一の山であり、2013年には世界文化遺産として登録され、国内外から多くの登山者が訪れる人気の観光スポットとなっています。

しかし、その人気ゆえに近年では混雑や環境破壊、登山者のマナー問題が深刻化しています。特に、登山シーズン中の混雑は異常なレベルに達し、安全面や環境保全の観点からも対策が急務です。
この記事では、富士山登山における四季ごとの問題点や入山者ごとの課題を整理し、今後の持続可能な富士山観光のための具体的な対策を提案します。
富士山登山の四季ごとの問題点
春(3月〜5月):残雪期の危険性と無謀な登山者の増加
春は気温が上がり始め、登山への意欲が高まる季節です。しかし、富士山は標高が高く、5月頃までは残雪が多く残るため、登山道の凍結や滑落事故が多発します。
主な問題点
- 登山道の凍結による滑落事故の増加
- 山開き前で登山道の整備が十分でないため、道迷いのリスクが高い
- 軽装での登山や、装備不備による事故が発生
入山者の特徴
- 春の富士山に挑戦する登山者は、比較的経験豊富な層が多いものの、無謀な登山者も一定数存在します。
夏(6月〜9月):登山シーズン本番と混雑問題
富士山の山開きは例年7月上旬から9月上旬にかけて行われ、この時期が最も登山者が多くなります。特に夏休みシーズンには、国内外からの観光客が急増し、登山道の混雑が問題となっています。
主な問題点
- 観光目的の登山者が急増し、登山道が大混雑
- 弾丸登山(短時間で無理に登頂する行為)により、高山病や体調不良者が続出
- サンダルや普段着など、軽装備の登山者による事故が目立つ
- 外国人観光客の増加により、ゴミの投棄や騒音トラブルが問題に
入山者の特徴
- 富士山を「観光地」として訪れる登山初心者が多く、装備の不備やマナー違反が目立つ傾向があります。
秋(10月〜11月):閉山後の無許可登山と荒天リスク
秋になると、富士山の登山道は閉鎖されますが、一部の登山者が無許可で入山し、トラブルが発生しています。
主な問題点
- 山小屋が閉鎖されるため、救助体制が整っておらず、事故が発生すると対応が遅れる
- 天候が急変しやすく、強風や吹雪により視界不良や滑落事故が多発
- 紅葉を目当てに訪れる観光客が、無計画に富士山に登るケースも問題に
入山者の特徴
- 経験豊富な登山者が多い一方、紅葉目当ての軽装ハイカーがトラブルを起こす例も見られます。
冬(12月〜2月):厳冬期の登山と遭難事故
冬の富士山は、気温が氷点下20度以下になることもあり、雪山登山の厳しさが際立つ時期です。
主な問題点
- 凍傷や低体温症のリスクが高い
- 雪崩が発生しやすく、救助活動が難航することが多い
- 道迷いや装備不足による遭難事故が後を絶たない
入山者の特徴
- 冬季に挑むのはエキスパートが多いものの、経験不足の登山者が装備不備のまま挑戦するケースがあり、遭難に至ることもあります。

入山者の問題と課題
四季を問わず、特に登山シーズン中は以下の問題が目立っています。
- 軽装備の登山者による事故やトラブル
- 観光目的で訪れた外国人登山者のマナー問題(ゴミの投棄、ルール違反)
- 深夜や早朝に登る弾丸登山による体調不良や事故
今後の対策と提案:1万円のデポジット制度の導入
山梨県と静岡県では、山梨県議会では2024年夏から2,000円の入山料を4,000円に引き上げられ、静岡県議会でも富士宮・御殿場・須走ルートでも4,000円の入山料が可決されたので、一定の効果が出てくると思います。
しかし、さらなる対策として以下のような制度が私は有効ではないかと考えます。
1万円程度のデポジット制度
- 登山者は入山時に1万円を預ける
- 下山後に以下の条件が満たされていれば、6,000円を返金する
- ゴミの持ち帰りが確認できる
- 適切な装備での登山が確認できる
- ルール遵守が確認できる
この制度により、無謀な登山の抑止や環境保護が促進され、富士山の美しい自然が守られると考えられます。
持続可能な富士山観光のために
富士山は、日本が誇る貴重な自然遺産であり、訪れるすべての登山者がその価値を理解し、安全に登山することが求められています。
今後は、入山料やデポジット制度などのルールを設けるだけでなく、登山者自身がマナーを守り、環境保護に配慮する意識を持つことが重要です。


コメント